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マイスターくにひろの工房便り4

「ギフトシーズンと受注生産」



松澤州紘

ぐるめくにひろの看板商品は、「完全受注生産の熟成炭火燻製ベーコン」をはじめとする「完全受注生産の炭火燻製シリーズ」。
ご注文を頂いてから、肉を選んで仕込みに入る。そして、塩漬-熟成期間を日数で区切らずに「熟成が完了したよ」という肉からの合図を待つ。それから、紀州の備長炭で一昼夜かけてゆっくりと燻製を仕上げていく。長いもので5週間、短いものでも2週間ほどお待ちいただく。
その中でもトップの人気が熟成炭火ベーコン。現在では、レンガで組んだ炭火用の燻製庫で製造している。

このベーコンに次いでの人気商品が腸詰め。無添加で最初に作ったのが腸詰めだった。ドイツの製造法とかなりかけ離れたものとなり、品物自体も随分と違った物になってしまったので、自分の腸詰めが本場ヨーロッパで認められるのか不安になった。そこで50項目の採点をしてくれるというヨーロッパのコンクールに出品することにした。
結果は2品出品して2品とも銀メダル。このメダル受賞は、私にとってはもちろん当時のお客様にもスタッフにも大きな出来事となった。当時、無添加でヨーロッパのコンクールでメダルをとったソーセージは日本初であったため、新聞に紹介されたり雑誌に取り上げられたりした。また、百貨店のギフトカタログなどにも取り扱われ、腸詰めのみの詰め合わせが育っていった。


ぐるめくにひろの最初のギフトシーズンは、DMも出せずに終わったが、2回目のギフトシーズンでは、モノクロ印刷で商品写真もない極めて質素な案内。同じ頃にテレビで御歳暮の商品として「布巻ロースハム」を取り上げられたため、このテレビの力任せに「布巻ロースハム」の注文が殺到し、その勢いに引っ張られ他の品物も併せて凄い数字をたたき出した。独立して半年後のこと、この奇跡的な数字を見て、私の勘違いが始まった。
膨大なお客様の名簿が出来上がり、「この大勢のお客様にDMをお届けすれば、ご注文をいただける。」「モノクロの質素なDMでもご注文を頂ける。」この勘違いで翌年の御中元期は、無残な結果で終わった。
『テレビのお客様は次から次へと番組を追いかけていく』という特性もわからずに、大勢のお客様の存在にあぐらをかいてしまったのだ。(それでもTVからのお客様の1割はご購入くださった)通販専門のハムソーセージ屋にとってこのギフトシーズンの敗北は、大きな痛手である。
『今度の御歳暮で失敗したら、ぐるめくにひろは終わる』という想いが日々、私を苦しめた。さらにギフト媒体を作るためデザイナーを頼む予算もなく、もちろんカメラマンを頼む予算もない。
『じゃあ、自分でやるしかない!』カラーの写真付きのチラシ作りの勉強を始めた。校正無し、色校無しの格安の印刷屋さんを見つけて、素人のデザインながらカラーの写真付きのチラシが完成。これを機に、ぐるめくにひろのDMは、私が作るようになったのだが、この苦い経験は、私にDM作りの必要性を教えてくれた。徐々にDMのレスポンスも増えて、身を持って媒体の大切さを感じることとなった。


『通販は、商品ありき』は、もちろんだが、媒体の影響力も大きいということも学んだ。
ギフトシーズンには、その時その時に召し上がっていただきたい新製品を必ず作る。そして回を重ねるごとに、お客様が今回の新製品はなんだろう?と、楽しみにしてくださるようになった。また、チラシのデザインの勉強も経験も重なっていき、お客様の反応は徐々に良くなっていく手ごたえを感じた。
今、ギフトシーズンのDMは過去2年の購入者のみに発送する。そのレスポンスは50%以上。写真の無いモノクロ時代の案内を作った頃の想いも忘れずにDMを作っているので、お客様からは「お手紙をありがとうございます。」というお言葉を頂くことがある。
御贈答品を受け取ったお客様から、ご注文主様へ「おいしいソーセージでした。今度も同じ物をお願いします」という言葉が多く聞かれるようになったり、「○○さんに頂きました。とてもおいしかったので、私もご進物でお願いしたいのですが・・・」と言う有り難いお言葉もたくさん頂けるようになった。
こうして、ぐるめくにひろのギフトシーズンは、回を重ねるごとに成長を続けているが、その根底にあるのは常に「通心販売」。





お中元・お歳暮以外にお送りするシーズンDMは春の「山の生ハム」。秋、ヨーロッパの祭典『オクトーバーフェスト』と『イタリア市場』。冬には『ポトフ特集』などを組んでいる。その季節にお送りするDMは、通常のギフトDMと違い、メニューが大切となる。品物にまつわる物語の深さや楽しさ、そしてメニュー自体の魅力が勝負。
私は、お客様に喜んで頂けるメニューがどのくらい組めるかを考えながら、楽しくメニューを組んでいるが、DMをお届けしたお客様の声や反応も楽しみの一つである。
更に、ギフトシーズン限定品、季節の限定品などの詰め合わせには、それぞれのお召し上がり方、品物の物語の栞(しおり)も品物とご一緒にお届けする。実は、この栞が好評で、お客様に喜んでいただいている。あるとき、限定品の詰め合わせに栞をうっかり入れ忘れてしまったときには、早速お客様から『必需です』というお手紙をいただいたことも。
写真付きのわかりやすいDMとお知らせ、お届けする商品、そして商品の情報とお召し上がり方の栞。この3点セットがぐるめくにひろのギフトシーズンの必須となっている。


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