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11//30
大阪府柏原市 カタシモワイナリー取材記
 

11月の初旬、西日本で最も古く歴史のあるワイナリー、カタシモワイナリーの取材に行ってまいりました。

ワイナリーは大阪南東部、奈良の県境に近い、柏原(かしわら)市郊外の静かで古い街並みの中にありました。

今回案内して頂いたのは、四代目の社長、高井利洋さんと、お嬢様の麻記子さん。

とても気さくなお二人に、まずは自社農園のある合名山(ごうめいやま)を案内していただきました。

 
傾斜に広がるぶどう畑。風情を楽しんでいただけるよう、昔ながらの景観を残しています。

甲州・デラウェア・マスカットベリーA・カベルネソービニヨンなどワイン用の品種が栽培されています。

昔、大阪で栽培されていたぶどう品種は甲州の一種類のみ。現在栽培されている甲州は、明治時代に地元堅下の篤農家で甲州種のぶどう栽培を成功させた中野喜平氏が普及させ、今に至るそうです。

カタシモワイナリーの創業は大正3年。大阪はかつて日本一のワイン産出量を誇っていました。最盛期には大阪府内には119件ものワイナリーがありましたが、現在醸造販売を行っているのは7件のみ。中でもカタシモワイナリーは最も歴史あるワイナリーで100年近くも続いている老舗なのです。

社長のこだわりやぶどう畑の様子をレポートします。

自社農園の合名山は、何より安全なぶどう作りに徹していて、一番気をつけていることはぶどう畑の土。

ぶどうの搾りかすやタネ・皮を発酵させて、土へ返すことによって肥料が減り、減農薬栽培で5〜10年で土が元気になり、出来のよいぶどうが実るそうです。

言葉で言うのは簡単ですが、とてつもない苦労と努力が必要です。
 
合名山には西日本最古のぶどうの木があります。樹齢90年の古木は急な斜面より生えていて、中は空洞になっていました。







ぶどうの種類によってくっきりと色が異なるぶどうの葉。
奥の黄色い箇所がマスカットベリーA,手前の赤い葉は甲州種です。
 
棚の下から上を見上げるとぶどうの木の枝の数々。
ぶどうの枝同士が重なると、いいぶどうが出来ず、日々、ぶどうと向き合っていると、畑の色々な様子がわかってくるそうです。

取材の時間は2時間。一通りぶどう畑を見せていただき、次に文化財にも指定されているセラーを見せていただきました。10℃に保たれた中には一升瓶が約1万本。ヨーロッパの方法ではなく、日本酒の製造技術のノウハウを元に瓶の中で熟成させることでワインへのダメージを軽減できるそうです。
 
いよいよ楽しみにしていた試飲。
テイスティングルームが完備されていました。鮮やかなロゼカラーが美しい「カタシモスパークリング ロゼ」デラウェアとキャンベルの国産ぶどうから生まれた、スパークリングワインです。
カタシモワイナリーでのスパークリングワイン作りは1960年頃からスタートしています。
シャンパーニュ方式で使われる瓶内二次発酵で作っているので、泡立ちも力強く、フルーティな味わいが広がるやや辛口のスパークリングワイン。じゅうぶんに冷えたロゼは、喉にスッと入ってきて幸せな気持ちになりますね。
 
大阪のデラウェアは全国で第3位の生産量を誇り、最も美味しく皆様に喜んでいただけるものは何かを考えた結果の答えが、スパークリングワインだったそうです。

もちろん、スパークリングワイン以外でもデラウェアを使った美味しいワインがありました。
 
氷結ワイン(左)・葡萄華(中央)・国産デラウェアぶどうジュース(右)氷結ワインは甘口のデザートワイン。
甘みと酸味のバランスがよくとても美味しいワインでした。ぜひ一度お試しください。
中央の葡萄華/ジャパニーズグラッパはデラウェア100%のブランデーでフレンチオークの木樽で熟成させた人気商品。ブランデー初心者の私でも飲みやすくコクのある味わいを感じました。そして、国産デラウェアぶどうジュース。
無添加で作るデラウェア100%のぶどうジュースです。ぶどうの自然な香りと風味をそのまま残したピュアな味わい。

大阪のぶどう、特にデラウェアは生産者の高齢化や後継者不足などの問題を抱えています。
「このままではぶどう畑がなくなってしまう」、「自分達に何かできないか」、を考え、「ぶどうを活かした事業を積極的にやっていこう」という結論になりました。生食用のぶどうではなく、敢えてワイン用のぶどう作りに注力。ワイン用なら見た目が悪くても味が良ければ大丈夫。

除草剤をやめ、同時に農薬を減らし、肥料はぶどうの搾りカスや牛糞などを有機肥料に変える努力を重ねた結果、ワイン用の素晴らしいぶどうが出来たそうです。
 
復活したデラウェアを使って生まれた最新の人気商品が「たこシャン」。
大阪といえばたこ焼き。たこ焼きにあうスパークリングワインを作ることは社長の長年の夢でもあったそうです。確かに和食やフレンチと合うスパークリングワインやシャンパンは聞いたことがありますが、たこ焼きにあうスパークリングワインは聞いたことがありません。
面白い発想ですね。250mlというサイズは、一本一本全て手作業。何とこちらもシャンパーニュ方式で作っていて、瓶内発酵、デゴルジュマン(澱を取り除く作業)、ドサージュ(補液)と、とんでもない手間がかかっているそうです。
しかし、社長と従業員の方の「出来るだけたくさんの人に飲んでほしいから」という想いが原動力となり「たこシャン」が誕生。現在はレストラン専用の商品なので、カタシモワイナリーのHPからたこシャンを飲めるお店を検索してくださいね。

 
あっという間の取材で、まだまだ伝えきれない部分もありますが、ワイナリーの方々のワイン作りに込める情熱や発想の豊かさ、行動力、そして社長と麻記子さんお二人のお人柄、これらすべてがカタシモワインの人気に繋がっているのかなと感じました。
海外のワインに負けない、大阪ワインの魅力にも気がつくことのできた一日でした。

<取材・文責> 食空間コーディネーター 占部恵子
 
カタシモワインフード株式会社(カタシモワイナリー)
〒582-0017 大阪府柏原市太平寺2丁目9番14号
URL http://kashiwara-wine.com
 

占部恵子

日常の食卓で簡単に出来るテーブルコーディネートや
シャンパーニュ・コーディネートなど、ライフスタイルを楽しむ演出を提案。

占部恵子事務所
URL http://urabekeiko.com



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